突然の説教
最近、ミステリ熱もあり小説を読むのが
趣味になりつつある。
毎日毎日読むという訳では無く、気が向いたら読む程度で、興が乗らない時は1ページもめくらない日もある、その程度である
基本的には読み始めればちゃんと最後まで読む、時間は掛かっても読み終えるものだ
しかし、そんな中でも途中で読むのをやめてしまった本がある。
『教団X』
装丁とタイトルに惹かれ何となく興味はあったものの、買って読もうと言う機会も無くスルーしていたのだが、文庫化を機に購入してみた。
内容は、タイトルから連想する通り宗教団体のお話
カルト宗教を扱ったものなのだが
若干期待していた内容と違い、そこには
露骨な性描写と、異常なまでの熱量を感じる説教
性描写に関しては、好みも分かれるところで
不快に感じたという人も居るだろうが
カルト宗教問題を扱っているのであれば、納得も出来る。宗教に金と女は付き物だからだ。
しかし、問題はそこでは無く
"あまりに説教がキツくしつこい"
ここである
最後まで読み終える事が出来なかった原因である。
しかも、一度ならず二度目もある時点でパタリと本を閉じてしまった。
そこへ至るまでの話など、この説教をする為に存在したのだと言わんばかりの熱量が込められており、宗教団体だとか、謎の教祖などどうでも良く、ただただ説教がしたかったのだろうか
そう感じるほど熱く語られている。
一度目の説教では「あーこう言う考えの人居るよね」程度であったが
二度目ともなると「あー作者の伝えたい事ってそう言う事ね…」と、作者の意図が見え透いてしまった時、一気に冷めてしまった
いや、覚めたのかも知れない
そうして、7〜8割程度を読んだ時点で本当に読むのを辞めてしまったのだった。
そこまで読んでおいて最後まで読まない事があるのかと、自分でもそう思うが
『教団X』というお話に興味が無くなってしまったのだった。
説教の内容については、各個人の感じ方も違うと思うので各自確認してほしい。
もしかしたら中には説教と感じず「そうだ!そうだ!」と絶賛する、特定のパーソナリティの持ち主もいるかも知れない。
と、ここまで書いた後、世間ではどう評価されているのか、軽くみてみたところ
随分と低評価が多いらしく、批判の内容も
理解出来るものも少なくなかった。
売れた原因というのも、テレビで芸人さんが紹介したのが一因の様だ。なるほどね。
そして低評価に対する、意見というと
「普段、本を読み慣れていないからだ」
「面白さを理解出来ないのは純文学を理解していないからだ」
「ストーリーに重きを置いていないからだ」
「露骨な性描写など他作品にもある」
などが見られた
どうやら、読み解くには特定技能が必要な書物だったらしい。いつかその技能を会得した際に
もう一度、"試験"に臨んでみようかと思う。
因みに教団Xの話題といえば
以前、ラジオ 三四郎のオールナイトニッポン0
(今は一部に昇格しましたね)
の中で、三四郎の小宮さんが
相方の相田さんに「もっと本を読め!」
と言った話の流れだったか、『教団X』の話題を出していたのだが、小宮さんは
「説法がキツイけどね」
と、評してたのは笑ってしまった。
その通りであった。
話は変わるが
突然の説教作品といえばこちらの作品も外せない
『借りぐらしのアリエッテイ』
え?違和感を感じなかった人おる?と言うくらい
突然の説教に襲われる作品
当時もネットなどで話題になっていたかと思う
アリエッテイという小さな生き物達のお話
アリエッテイ達が住む場所は、人間の家の軒下を間借りしており、人間にバレ無いよう密かに食べ物などを拝借して暮らす妖精の様な、か弱い生き物。彼らは今やその数も減り、アリエッテイら家族を残すのみかと思われた。
ある日その家に住む人間の少年に存在が露見してしまう、人間の少年との交流を果たすアリエッテイ
その中で、か弱い生物であるアリエッテイらに対し、少年による突然の説教が始まるのだ、かなり現実的で厳しい事を言い出す。
(君達のような弱い種は先が無い、絶滅するだろう的な事)
当時は面食らったものである、この少年は突然何を言い出すのか。
小さな妖精達の幻想的な世界に浸り、ぬくぬくと楽しんでいたら、突然頭から冷や水をぶっかけられた様な心境。
突然のアイスバケツチャレンジである。
この手法は、どうやら米林宏昌監督の特色でもあるようで、
『メアリと魔女の花』
でも、幾分ぬるめではあるが、突然の説教を観ることが出来るので
突然の説教を浴びたい諸君は是非、鑑賞してみて欲しい。
この文章の中にも突然の説教を組み込もうと考えたのだが、人様に説教出来るほどの人間では無かったのだった。むしろ説教されてしかるべき人間である。